日経新聞には、株式市場に関する情報が一般紙よりも詳しく載っています。投資家にとって貴重な情報の宝庫なので、毎日欠かさず株価などの情報をチェックするようにしましよう。
また、上場企業の基本情報や業績、株価の動きをまとめて知りたい時には会社四季報や日経会社情報が参考になります。
日経新聞の読み方
株式投資情報を得るなら日経新聞
株の値段を調べるには、いろいろな方法がありますが、いちばん簡単で役に立つのが、新聞を読むことです。
新聞にもいろいろとありますが、その中でも、個別企業の株価の動向などが特に詳しく掲載されているのが、日本経済新聞(日経新聞)です。決算公告や株主総会の告知など、企業が公表しなければならないと決められている情報も、日経新聞に掲載されることが多いです。このほかにも、株式新聞、株式市場新聞、日本証券新聞といった証券業界の専門紙もあります。
「株は政治や経済、社会全体を映すモノサシ」といわれている通り、株価はこれら政治や経済関連のニュースに敏感に反応します。ですから、株式投資を始めると、多くの人が自然と毎日の政治、経済、社会全体の動きや流れが気になるのです。
こうしたことからも、資産運用を楽しみながら社会の動きを知ることができる株式投資の魅力が見えてくるかもしれません。
新聞の株式欄を見てみましょう
日経新聞には通常株式欄と呼ばれる、証券市場に関する証券ページがあります。新聞の欄外に「証券1」「証券2」などと書いてあるページが、この「証券」ページです。この証券ページは4ページほどしかないのですが、そこには東証をはじめとする、各証券取引所で売買されている各銘柄の前日の株価や売買高などが毎日、一覧で掲載されています。
相場表とも呼ばれるこの表は、自分が保有している銘柄の株価の動きを知るための重要な情報源となります。
決済公告
企業が株主総会で承認された決算書やその要旨について、官報や新聞紙上で開示したもの。どのように決算公告を出すかは、企業ごとに定款で定められています。
株の銘柄名の正式名称はどこで調べればいい?
株式欄に掲戴されている銘柄名は紙面の都合上、略称が使われています。一見どの銘柄のことなのかが分からないものも数多くあります。
銘柄の正式名称が知りたい場合は、この後、紹介する会社四季報や日経会社情報に掲載されている「略称一覧」を見て調べればわかります。
株式欄の読み方
①市場名
相場表は市場別に掲載されています。東京第1部と書いてあるのが東証1部のことです。以下、東京第2部、大阪第1部、大阪第2部、名古屋…といった具合に列記されています。
②銘柄名
スペースの都合から、多くの銘柄名が略称で書かれています。「日水」とあるのは日本水産、「三井山」は三井鉱山、「帝石」は帝国石油を表しています。
③四本値
始値、高値、安値、終値が示されています。高値が白抜き数字になっているのは年初来の最高値、安値が白抜き数字になっているのは年初来の最安値を意味しています。
④前日比
前日の終値とその日の終値を比較しています。「△」は値上がり、「▲」は値下がり、「0」は変わらず、「-」は前日もしくはその日のどちらかに取引がなかったことを表しています。
△10 → 10円値上がり
▲50 → 50円値下がり
⑤売買高(出来高)
売買が成立した株数です。単位は原則として1,000株ですが、売買単位が1株、10株、50株の銘柄については1株を単位としています。1,000株単位の株で576とあれば、57万6,000株の売買が成立したということです。
⑥売買単位など
売買単位が1,000株以外である銘柄には、左にアルファベット記号がついています。また、「・」印は「貸借銘柄」といって、主に信用取引の対象となっている銘柄を表します。アルファベット記号の上に小さく「・」印がついていることもありますので見落とさないように注意しましょう。
⑦業種区分
その銘柄が属する業種です。業種区分は東証や大証、ジャスダックなどの市場に共通していて、証券コードとも連動しています。
株価の指標を読み株式市場全体の動きをつかもう
日経新聞には、個別銘柄の相場表を掲載した証券ページのほかにも、株式市場に関するさまざまな情報ページがあります。
その中でも注目したい部分が、株式市場全体の動きを示す主要指標欄があるマーケット総合ページです。ここには、株式市場全体の売買高(出来高)や売買代金、時価総額、日経平均株価や東証株価指数などの主要な株価指数が掲載されています。
これらの出来高や株価指数は、株式市場全体の動きをつかむうえで重要な意味を持つ指標です。
「株価欄」と併せて、この「指標欄」にも必ず目を通し、個別銘柄だけでなく、こうした株式市場全体の動きについてもチェックするようにしましよう。
また、土曜日の日経新聞には、通常の株価情報とは別に週間株式ページが設けられていて、株価の1週間の高低が一覧になっています。
更に、週間株式ページには、1週間の株取引を通した高値、安値のみならす、昨年来高値、昨年来安値、PERや利回りの予想といった重要なデータも掲載されています。週末にゆっくりと時間をかけて分析するのに最適なページなので十分に活用しましょう。
株価と関係が深い企業・企業財務ページもチェック
前にも述べたように、株価は政治や経済、社会全体のニュースと密接に結びついています。ですから、株価をチェックするのも大切ですが、そればかりではなく、時間が許す限り、その他のページにも目を通すようにしましょう。
その中でも株価との関わりが深い企業ページや企業財務ページはチェックしておきましょう。これらのページには、個別企業の決算情報や業績の予測など、投資銘柄を決めるうえで欠かせない情報が満載です。
また、広い視点から株式市場を見るなら企業ページや企業財務ページよりも経済ページの方が参考になるでしょう。日銀の政策や業界全体の動向などが分かりやすく解説されています。
株式投資をやっている人の多くは、とりあえず証券ページを開き、自分の保有銘柄の株価を調べたくなるものですが、株式市場全体の動きをつかむには、できるだけたくさんのページに目を通すことは必須です。せめて見出しだけでも、毎日欠かさすチェックするようにしましよう。
指標欄の読み方
①日経平均株価
東証1部に上場している主要225銘柄の大引けの株価を基に計算した数値。前日との比較も示されています。
②売買高・売買代金・騰落銘柄数
東証1部、東証2部、大証1部、大証2部、ジャスダックの5つの市場について、それぞれの売買高(出来高)や売買代金などの合計が記載されています。
②-1「大商い10銘柄占有率」
売買高の多かった上位10銘柄が、その日の売買高全体に占める割合(%)のこと。数字が大きいほど、一部の銘柄に売買が集中していたことになります。
②-2「騰落銘柄数」
前日と比較して、株価が上がった銘柄と下がった銘柄それぞれの銘柄数。日経平均株価の値上がり、値下がりの原因が一部の銘柄によるものなのか、株式市場全体の動きによるものなのかが推測できます。
③東証株価指数(TOPIX)
東証1部全体の時価総額がどれくらい増減しているのかを指数化した数値。これについても、前日との比較で動きを読みます。
④単純平均株価
東証1部に上場している全銘柄の平均株価を単純に計算した数値。通常、日経平均株価よりもかなり低い数値になります。
⑤規模別指数
東証1部上場銘柄については、「大型株」「中型株」「小型株」それぞれについて、個別に東証株価指数が示されています。
⑥東証・ジャスダックの時価総額・利回り・PER・PBR
東証1部、東証2部、ジャスダックの3つの市場について、時価総額、平均配当利回り、株価収益率(PER)、株式益回り、純資産倍率(PBR)が示されています。
⑦ ①、②などの記号は、それぞれ1部市場、2部市場のことを表しています。
規模別指数
東証がTOPIXの補助指数として発表している指数を規模別指数といいます。ほかに業種別に区分した「業種別指数」があります。これらは「サブインデックス」とも呼ばれています。
「会社四季報」と「日経会社情報」は株式投資の必須アイテム
上場企業の基本情報や業績、株価の動向をまとめたハンドブックの代表的なものとして、東洋経済新報社発行の「会社四季報」と日本経済新聞社発行の「日経会社情報」があります。どちらも年4回、3月・6月・9月・12月に発行されています。
これらは全上場企業の所在地や事業内容といった基本データから、大株主、役員、業績の実績や予想などの財務データまで幅広く網羅しており、各銘柄の概略をつかむのに非常に参考になる便利な資料です。
株式投資をしている投資家のオーソドックスな流れは、「会社四季報」や「日経会社情報」で基本的な情報を押さえておき、新聞で日々の動向やニュースをチェックするという方法です。
なので、株式投資を始める場合は、先ず「会社四季報」か「日経会社情報」のどちらか1冊は購入した方がいいでしょう。また、その際は常に最新号を用意するようにしておきましょう。
最近は、これらのCD‐ROM版なども発行されています。書籍と同じ情報が収録されているのはもちろん、発売後の最新データについてもインターネットを使ってダウンロードできるなど、CD‐ROM版ならではのサービスもあります。
会社四季報には「通常版」「CD-ROM版」の他に、通常版の2倍サイズの「ワイド版」、非上場企業の事業内容や業績などをまとめた「未上場会社版」など、さまざまな姉妹版もあります。
会社四季報の読み方
①社名欄
証券コード
上場企業にはすべてに固有の4桁の証券コードが付けられています。
社名
社名の前に「株式会社」が付く場合は、(株)を付記し、後ろに付く場合は省略しています。
【決算】
本決算期を表しています。「○月」となっている場合にはその月末が決算日です「中配」と書いてある企業は中間配当を行っています。
【上場】
上場年月。ジャスダックから上場した企業は、ジャスダックに上場した年月で示しています。
【特色】
業務内容や業界内での地位、得意分野、資本系列、沿革など、その企業の特徴が簡潔に記載されています。特定のテーマに注目している場合には、有望な企業を選ぶための材料になります。
【連結事業】【単独事業】
直近の本決算期における部門別売上構成比率。カッコ内は各部門の売上高営業利益率です。▲は赤字、単位は%で示されています。
【海外】【輸出】【貿易】
全売上高に占める海外分野の比率です。収益が円高・円安に左右されやすい企業かどうかを見極めるポイントになります。
②解説記事欄
前半は、今期または来期の業績見通しを述べた業績記事欄、後半は最近のトピックス、中期展望などを述べた材料記事欄。ここを見るだけで、業績や成長戦略などが大まかに把握できるようになっています。
③本社欄
【営業所・支店・工場】
現時点での主な営業所・支店の電話番号、工場の数などが記載されています。業種によっては、直近の店舗数や売場面積、路線キロ数、支配船腹量などが記載してある場合もあります。
【証券】
[上]は上場している市場名。取引所名の後に「2」や「(2)」が付くのは2部市場を示しています。「マ」や「(マ)」はマザーズ、「HC」はヘラクレスとうように、それぞれの市場名が記号で表されています。
「5市場」とあるのは、東京、大阪、名古屋の各1部市場および札幌、福岡の国内5市場すべてに上場しているということを表しています。
[幹]は幹事証券会社の略で、(主)は主幹事、(副)は副幹事を表しています。
[名]は株の名義書換場所を示しています。
[監]は直近の決算を監査した監査法人を示しています。
④株主・役員・連結子会社欄
【株主】
<>内の決算期末における大株主10名の構成、それぞれの持ち株数、持ち株比率を記載しています。
<外国>外国国籍の個人、外国の法律により設立された法人の所有する株数の合計が発行済み株式数に占める比率。
<投信>投資信託に組み入れられている株数の比率。
<浮動株>1単元以上50単元未満の株主が所有している株数の合計が、発行済み株式総数に占める比率。
<特定株>大株主10位までと役員持ち株(役員持ち株会を含む)の単純合計の比率。
【役員】
商法上の取締役と監査役の名前が記載されています。
(会)は会長、(社)は社長、(専)は専務取締役といった具合に、それぞれの役職名も書かれています。
⑤株式・財務~キャッシュフロー欄
【株式】
発行済み株式数が千株(未満切捨て)単位で示されています。
「単位」は原則として1単元の株数を示しています。
[貸借]は貸借銘柄であること、[優待]は株主優待制度があることを意味しています。
「みなし」は、みなし取得価格を表しています。
【財務】【指標等】
<>内の決算期時点おける財務データです。「連」は連結決算ベース、「◎」は米国SEC基準。無印の場合は単独決算ベースで示されています。
【キャッシュフロー】
営業CFは営業活動によるキャッシュフロー、投資CFは投資活動によるキャッシュフロー、財務CFは財務活動によるキャッシュフロー。▲はキャッシュの流出、無印は流入を表しています。
⑥資本異動欄
【資本異動】
増資(新株発行)、減資、合併、株式交換、株式分割などによる発行済み株式数(単位:万株)の推移を異動年月、増資内容とともに表示しています。
「分」は「株式分割」を意味しています。
例えば、「分1→1.1」は株数が1.1倍になったことを示しています。
その下にあるのが株価欄。
株価欄では、上場以来の高値、安値、出来高の推移が分かるようになっています。
「225」とあるのは、日経平均の採用銘柄であることを表しています。
⑦業績欄
【業績】
「連」または「◎」は連結決算、「単」は単独決算、「中」は中間決算の数字を表しています。決算期の右に「予」がつくのは予想数字。あくまでも「会社四季報」編集部の判断によるものなので、企業が発表した業績予想とは異なる場合があります。
「1株益」は1株当たり税引き後利益、「1株配」は1株当たりの配当金、「1株営業CF」は1株当たり営業キャッシュフロー、「1株株主資本」は1株当たり株主資本の略称です。基本的な単位は(百万円)ですが、「1株益」より右は(円)となっています。
会社四季報の業績予想データは必見!
「会社四季報」の業績予想データは、国内企業に関するスタンダードな予想として、世界中の投資市場で幅広く利用されています。
重要な情報の宝庫である「会社四季報」ですが、その中でも特に注目したいのは、コメント記事と特色、業績予想の部分です。
これらは、企業自身が発表している数字がもとになっている場合もありますが、編集部の記者が独自にまとめたり、数字を予想したりしている場合もあります。
つまり、「会社四季報」と「日経会社情報」とでコメントの内容はもちろん、業績の予想値が異なる場合もあるというわけです。
大株主
持ち株比率の高い株主のことを大株主と言います。「株主」欄や「役員」欄に同じ苗字の人がずらりと並んでいる場合には、いわゆる「同族企業」である可能性が大きいです。特に、社長や会長が創業者である場合には同族企業となるケースが多いようです。
巻末には役立つ資料がいっぱい!
「会社四季報」は巻末資料が充実しているのも魅力のひとつです。
各種の企業ランキングに始まり、名義書換場所の一覧や、社名・売買単位などを変更した企業の一覧、日経平均株価(日経225)の採用銘柄一覧など、非常に使える内容となっています。その中でも重宝するのが株主優待制度を導入している企業の一覧です。
同じ巻末にある「株主優待を含めた実質高利回りランキング」と併せて活用すると面白いのではないでしょうか。
株式投資は情報が命!
株式投資は情報力が勝負!常にアンテナを張りめぐらせ、あらゆるメディアを活用して情報収集に努めることが大切です。
株式投資の情報はいろんなところに転がっている
株式投資は、何といっても情報力が勝負になります。常にあらゆるメディアを駆使して情報を収集することが大切です。
株価は新聞や「会社四季報」などのハンドブック、「Yahoo!ファイナンス」など…
その他、証券会社の店頭やテレビ、ラジオなどを通じて知ることもできます。情報の早さと正確さを求めるなら、証券会社の店頭に足を運ぶのがいいでしょう。
また、東証のホームページでも、株価情報を見ることができます。
証券会社では、それぞれの独自調査による銘柄情報を持っています。このような情報をレポートにして投資家に配布している証券会社もあり、各銘柄の株価の動向やチャート、最新のトピックスなどを知ることができます。
営業担当者は投資家と証券会社を結ぶ窓口であると同時に、資産運用に関するプロでもあります。疑問に思うことがあったら、遠慮なく相談してみましよう。思わぬ情報をもらうことができるかもしれません。ただし、あくまでも最終判断は自分で下すということを忘れてはいけません。
株式専門誌なども貴重な情報源
マネー雑誌や株式専門誌などの雑誌類も貴重な情報源です。
「週刊ダイヤモンド」や「週刊東洋経済」など、大手の出版社が発行している週刊誌や月刊誌では、業界別の詳しいレポート記事や企業ランキングなど、新聞では網羅できない詳細な情報を得ることができます。
最近では「ダイヤモンドザイ」「日経マネー」など、マネー雑誌の種類も豊富です。いくつか目を通し、気に入ったものを定期購読するのもひとつの方法でしょう。
「オール投資」「株式ウイークリー」などの株式専門誌は、一般のマネー雑誌に比べ、個別企業の研究や相場の見通しなど、より踏み込んだ記事が中心になります。株初心者の方でこれから株式投資を始めようという方は、これらのマネー雑誌の方が馴染みやすいかもしれません。
常にアンテナを張りめぐらせ、自分の目や耳で情報を見つけることも大切です。テレビCMやコンビニの商品などをヒントに、今なにが流行っているのかをつかむことも、銘柄選びには有効な手段です。
企業ランキング
ひとくちに「企業ランキング」といっても、値上がり率ランキング、売上高ランキング、株主資本比率ランキングなど、その切り口はさまざまです。
株式投資の情報源
日経新聞、株式新聞、日本証券新聞など。一般紙でも役立つ記事がたくさん詰まっています。
【ハンドブック】
「会社四季報」「日経会社情報」は投資家の必須アイテム。常に最新号を手元に置いておきましょう。
【インターネット】
「Yahoo!ファイナンス」をはじめ、企業のホームページや株式情報サイトなど、情報源は尽きません。
【証券会社の窓口】
オーソドックスな情報収集法は、何といっても証券会社に通うことです。営業担当者と仲良くなっておきましょう。
【マネー雑誌】
最新情報が初心者にも分かりやすくまとめてあります。お気に入りを見つけて定期購読するのもおすすめ。
【株式専門誌】
一般のマネー雑誌よりも踏み込んだ記事構成が魅力。ただし株初心者には少し難解なところもあるかもしれません。
【テレビ・ラジオ】
株価情報の専門番組だけでなく、ニュースや情報番組から銘柄選びのヒントが得られる可能性もあります。
【コマーシャル】
テレビCMや車内広告なども企業の経営戦略を知る貴重な情報源となります。
プロの「発言」にも注目!
株式投資の現場には、機関投資家、株式評論家、記者など、たくさんの「プロ」がいます。こうした人々が発する銘柄情報や相場に対するコメントも責重な情報。アナリストが発表するレーティング(株価格付け)も調べてみると参考になります。