株と同じように売買できる投資信託
投資信託とは、一般の投資家から集めたお金を使って、資産運用のプロであるファンドマネージャーが株や債券、不動産などに投資してくれる商品で運用の結果生まれた利益や損失は、出資した金額に応じて投資家に分配されます。
その投資信託にもいろいろなものがあるのですが、証券取引所に上場して売買される投資信託をETFといいます。株のように売買できる手軽さや手数料の安さ、株以外の投資ができる便利さで人気を集めています。
ETFとは?
投資信託の中でも投資家の間で人気があるのが、ETF(指数連動型投資信託)です。
ETFとは「Exchange Traded Funds」の略称で、証券取引所で取引されるファンドのことを指します。
ETFは指数連動型投資信託ということで、文字通り日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などの指数に連動することを目的として運用されています。これらの指数は、インターネットやテレビのニュース、新聞などさまざまなメディアで毎日確認することができるので、値動きを掴みやすいでしょう。
また、ETFと通常の投資信託の大きな違いは、通常の投資信託がその日の基準価額でしか購入や解約の申込ができませんが、ETFは株と同じように証券取引所の立会時間中にリアルタイムで売買することができるところです。指し値注文や成り行き注文、信用取引をすることも可能なのです。
さらに、投資信託を保有している間、継続的に日々差し引かれる信託報酬が安いのも特徴で人気の要因のひとつでもあります。ETFと同様に特定の指数に連動して運用されるインデックス型ファンドの信託報酬は、年間0.5~0.8%ですが、ETFは、0.1~0.2%程度となっています。
信託報酬とは、投資信託の運用・管理に必要な費用で、証券会社、投資信託会社、信託銀行に投資信託財産から支払われる。
信託報酬は運用実績にかかわらず支払われるもので、日割り計算で信託財産から差し引かれるので、投資家は、投資信託を保有している期間は、間接的にその費用を負担していることになる。
インデックス型ファンドは購入時の手数料が無料(ノーロード)のものが一般的ですが、ETFは株と同じで売買手数料がかかります。しかし、長期で保有するのであれば、ネット証券など売買手数料の安い証券会社で購入することでETFの方がコスト面でお得になる可能性もあります。
株 | ETF | 一般的な投資信託 | |
---|---|---|---|
取引所への上場 | 上場している | 上場している | 上場していない |
信用取引 | できる | できる | できない |
取扱金融機関 | 証券会社 | 証券会社 | 銀行・証券会社・保険会社など |
取引価格 | 市場でのリアルタイム価格 | 市場でのリアルタイム価格 | その日の基準価額 |
取引価格の指定 | できる | できる | できない |
売買手数料 | 必要 | 必要 | ノーロードであれば不要 |
信託報酬 | なし |
あり (一般的な投資信託よりは低い) |
あり |
金 ETFとは?
ここ数年、金の価格が高値で推移していることから投資家の人気を集めているのが「金 ETF」です。
現在、国内では、東証と大証に合わせて4本の金ETFが上場しています。
東証に上場している金ETFは「SPDRゴールドシェア」と「ETFS金上場投資信託」です。この2商品は金の現物に投資し、運用している金ETFです。
一方、大証に上場している金ETFは、「金価格連動型上場投資信託」と「国内金先物価格連動型上場投信」です。
金価格連動型上場投資信託は、金価格に値動きが連動する金リンク債という高格付けの債券を組入れたものになります。
国内金先物価格連動型上場投信は、主に金先物を使って運用するものになっています。
銘柄名(銘柄コード) |
SPDR ゴールド・シェア (1326) | ETFS金上場投資信託 (1672) |
金価格連動型 上場投資信託 (1328) |
国内金先物価格 連動型投資信託 (1683) |
---|---|---|---|---|
運用会社 | ワールド・ゴールド・トラスト・サービシズ・エルエルシー |
ETFSセキュリティーズリミテッド |
野村アセットマネジメント |
マネジみずほ投信投資顧問 |
上場取引所 | 東証 | 東証 | 大証 | 大証 |
国内上場日 | 2008年6月30日 | 2009年8月24日 | 2007年8月10日 | 2010年2月15日 |
主な投資先 | 金の現物 | 金の現物 | 金価格に連動する仕組み債 | 金先物取引 |
売買単位・金額 | 1口単位・1万円前後 | 1口単位・1万円前後 | 10口単位・3万円前後 | 10口単位・3万円前後 |
特徴 | ・1万円前後で投資が可能 ・流動性が高い | ・1万円前後で投資が可能 ・流動性が低い | ・流動性が高い ・債券の信用リスクがある | 流動性が低い |
資産運用の比較
資産運用は、もちろん株式投資だけではありません。初心者がすぐに始められるものだけでも、「投資信託」、「FX」、「外貨預金」など、儲かりやすさはともかく、すぐに始められるものだけでもこれだけあります。ここでは、株式投資と合わせて、この3つを比較してみましょう。
投資信託は、金融の専門家が「どこそこを中心に投資します」という投資テーマを決めてお金を集めて運用します。投資家はその値上がり益を見込んで投資します。
FXは資金にレバレッジ(てこ)を掛けることで利幅を大きくし、米ドル/日本円など通貨ペアを運用してその為替差益を得ることを目的とします。通貨のレートが上がっても下がっても差益を狙えることが特徴です。
FXと似ているところでは、「外貨預金」がありますが、これは資金はあくまで自分の資金のみで運用します。外貨預金だと為替差益以外に、金利での収入も見込んでいます。
比較を以下の表に掲載します。一長一短ありますが、いずれも共通しているのは元本保証ではないことです。ただし、それぞれ特徴があります。リスク回避のための分散投資の際に検討してみるのもいいでしょう。
資産運用の比較表
株式投資 ※1 | 投資信託 | FX | 外貨預金 | |
---|---|---|---|---|
始めやすさ ※2 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
投資対象 | 国内企業 | 字間調整、指標、債券、資源 | 米ドル/円、ユーロ/米ドルなどの通貨ペア | 通貨 ※3 |
損益 | 株価の値上がりと配当・優待 | 値上がりおよび決算時にある分配金 | レバレッジで最大25倍まで為替差益を大きくできる | 円安による為替差益と金利 ※4 |
コスト | 売買手数料として100~2,000円 | 投資資金の約1~4% | 1通貨単位辺り0.5銭前後(米ドル/日本円の場合)が売買時にかかる ※5 | 売買時にその時点のレート上下数円~数銭を手数料としてとられる |
チャンスの多さ | ◎ | △ | ◎ | ✕ |
取扱い会社 | 証券会社 | 証券会社・銀行・保険会社 | 証券会社・FX専業会社 | 銀行 |
元本保証 | しない | しない | しない上に追証がある ※6 | しない |
※1 株式投資は、外国株および信用取引を考慮しない。
※2 申し込みのしやすさ。
※3 日本円からみた通貨を対象。
※4 定期・普通など預金に種類によって変わる。
※5 取扱い業者によって変わる。1,000~10,000通貨で取引される。1ドル100円なら、10,000通貨単位は100万円。
※6 レバレッジで資金を借りているため、掛けている元資金が足りなくなると請求される。