「日経平均株価」「TOPIX」とは
株式投資に大切なのは、個々の企業の株価だけではなく、株式市場全体の株価の動向も把握することです。そこでこれらの株価指数が重要になってくるのです。
株式市場の動きを読み解く2つの株価指数
新聞やテレビなどで株式市場の全体の状況を説明する際、よく利用されるのが日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などの株価指数です。
株価指数とは、相場全体の状況がどうなっているかを分かりやすく示すための指標のことです。この株価指数には2つのタイプがあり、「日経平均株価」は平均株価を指数化したもので、「TOPIX」は時価総額(株数×株価の総額)の増減を指数化したものになります。
50年の歴史がある日経平均株価
1970年から日本経済新聞社がデータの計算、公表を続けている、日本の株式市場を代表する株価指数が日経平均株価です。「平均株価」といえば、この日経平均株価を指すことが一般的となっています。また、「日経225」「日経平均」「日経ダウ」などと表記されることもあります。
日経平均株価は、東証1部上場銘柄のなかでも流動性の高い、主要な225銘柄の株価をもとに計算されています。基本的には225銘柄の株価の平均値ですが、特殊な計算方法で修正した除数を用いることで、データの継続性を保っています。
さらに、1991年からは毎年、市場の変化を敏感に反映できるように、銘柄の見直しが行われています。2000年4月には、一気に30の銘柄を入れ替え、その後も数銘柄ずつ、頻繁に銘柄の入れ替えが行われています。
日経平均株価は市場動向を把握するのに向いているといわれますが、対象が225銘柄に限定されていること、発行済み株式数の多い銘柄と少ない銘柄の株価を単純に平均していることなどから、少数の高株価銘柄の価格変動に影響されやすいという弱点もあります。
- ピックアップした225銘柄の株価水準を追うことで、長期的な株価の推移を見ている
- 除数は株価分割や銘柄入れ替えなど市場状況以外の理由で株価合計が変化する場合に修正される
日経ダウとは
日経平均株価はそもそも、1970年に東証が算出を中止したのに伴い、日経グループが算出、公表を引き継いだものです。1975年には米国のダウ・ジョーンズ社と提携し、ダウの名称を利用する権利を取得して「日経ダウ平均株価」という名称になりました。その後1985年にはダウの名称の利用を中止しましたが、現在でも当時の名残で「日経ダウ」と呼ぶ人もいます。
TOPIXは東証が公表
TOPIXは、東証が算出、公表している株価指数です。日本の株のベンチマークとしてはもっとも普及している指標だといえるでしょう。
1968年1月4日の終値における東証1部全体の時価総額を基準(100)として、現在の東証1部全体の時価総額がどれくらい増減しているのかを指数化しています。東証1部に上場している全銘柄を対象としているため、株式市場全体の動きをより正確に反映している指標だといえます。
- 基準日から東証1部の時価総額がどれくらい増減しているかを見ている
TOPIX
TOPIXでも、新規上場や上場廃止などがあった場合には、基準の時価総額を修正することでデータの連続性を保っています。東証では他にもサブインデックスとして、規模別指数、業種別株価指数、第二部株価指数などを公表しています。
「始値」「終値」「高値」「安値」
株で儲けるための株価を読み解く力をつけるには、株用語をしつかりと押さえる必要があります。
四本値とは?
証券取引所の1日の取引で、その日最初に売買が成立した株の値段を「始値(はじめね)」、最後についた株の値段を「終値(おわりね)」と呼んでいます。また、1日だけでなく、1週間、1ヵ月といった期間の場合もあります。
「前日終値」という言葉もありますが、これはあくまでも、土日を除く前営業日の終値のことをいいます。
証券取引所での取引時間は、前場(ぜんば)という午前と後場(ごば)という午後の2部に分かれて行われています。前場が始まって最初に売買が成立した取引のことを寄り付きといいますが、この時の株価が始値になります。
また、後場の最後に売買が成立した取引のことを大引け(おおびけ)といいますが、この時の株価が終値になります。ただし、大引けで売買が成立しない時は、ザラバ引けといいますが、その場合には、その株価が終値ということになります。
そして、その日に成立した売買のなかでいちばん高くついた値段を高値(たかね)、逆にいちばん安くついた値段を安値(やすね)といいます。
これら「始値」「終値」「高値」「安値」を四本値(よんほんね)と呼んでいます。四本値は、その銘柄の株価の動きを示す基本的な数字として、「ローソク足」を使った株価チャートにも利用されています。
一定期間の値動きを4つの値段で表したのが「四本値」
四本値 | |
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始値 | 期間中、最初に取引が成立した値段 |
高値 | 期間中、成立した取引のなかでいちばん高い値段 |
安値 | 期間中、成立した取引のなかでいちばん低い値段 |
終値 | 期間中、最後に取引が成立した値段 |
寄り付き
その日の取引(前場)が始まって、いちばん最初の売買のことを寄り付きといいます。寄り付きと大引けは通常と異なり、板寄せ方式で決定されます。後場が始まって最初の売買は「後場寄り」といいます。
「高値」「安値」の関連用語
「高値」「安値」にはさまざまな関連用語があります。
新高値とは、今まででいちばん高い値段のことで、「開設来新高値」や「昨年来新高値」などといったように使われます。
年初来高値とは、その年で最高の値段ということですが、証券会社によっては、前年の1月1日から当日までの間の高値を指すこともあるようです。
同様に、今まででいちばん安い値段は新安値、その年で最低の値段は年初来安値と呼ばれています。
終値がその日でいちばんの高値であることを高値引けといいます。「高値引け」は、値上がりの気配を残したままその日の取引が終わったということもあり、投資家は翌日の始値が気になる大引けということになります。
「気配値(けはいね)」とは?
売買注文を出す時に、その時点での市場の状況はどうなっているのかを探るため、参考になるのが「気配値」です。
「買い気配」には、現時点でその銘柄に買い注文を出している人のなかでいちばん高い値段、「売り気配」には、現時点でその銘柄に売り注文を出している人のなかでいちばん安い値段が提示されています。どちらも、それに見合う売買注文がなく、値が付かない状態の時に気配値として表れることになります。
「出来高」と「時価総額」
株価に先行して相場の転換期を示唆するのが「出来高」です。一方、「時価総額」は企業の現在の価値を表しています。どちらも株で儲けるためには重要な指数です。
出来高で相場の勢いを見る!
株の売買が成立したときに売り手から買い手にわたった株数のことを出来高(できだか)といいます。別名「売買高」とも呼ばれています。
例えば、F社が5,000株の売り注文を出し、Aさんが2,500株、Bさんが2,500株買った場合の出来高は5,000万株になります。
この出来高ですが、個々の銘柄で見るのではなく、株式市場全体で見ることが重要です。ニュースや新聞でよく「本日の東証1部の日経平均株価は○○円、出来高は××株でした」などと報道されていますが、これは株式市場全体でその日に何株の売買が成立したかということを指しています。
また、出来高は、相場の勢いをみる参考指標でもあります。原則として、相場が勢い付いて株価が上がっていると出来高も増加し、株価が下がっていると出来高も減少する傾向にあります。
しかし、稀にこのパターンが崩れることがあります。
例えば、株式相場が大暴落したときには、株価が大幅に下落しているにもかかわらず、底値で買おうとする資金が流れ込むために、出来高が急増することがあります。
このように、
株価相場の変動の兆しは、まず出来高に表れるのです。
時価総額で企業の価値を見る!
「時価総額」とは、株の総額を、ある時点の株価で評価した場合に、どのくらいの金額になっているかを表したものです。株式市場全体の時価総額なら、その数字は株式市場の規模を表しているといえます。
また、個別の銘柄の時価総額は、「株価 × 発行済み株式数」で計算することができます。これは、現在の株価ですべての株を取得するのにいくら必要かということになります。言い換えれば、時価総額とは、株式市場が評価した現時点での「企業の価格」と考えることができます。
企業の経営者にとっては、時価総額がいくらになるのかということは気になるところでしょう。だからといって時価総額を増やすためだけに発行済み株式数を増やしたとしても、その分、株価が値下がりしては結局、相殺されてしまいます。
つまり、時価総額は、その企業の「時価価値」を表している指標だということができるでしょう。
「出来高」のカラクリ
出来高が多いということは、それだけ「その株が欲しい!」と思って買っている人が多いということです。しかし、ウラを返せば「もうこの株はいらない」と思って売っている人も同じだけいるということになります。つい買い手側から株の動きを見てしまう傾向がありますが、出来高にはこのような二面性があることを肝に銘じておきましょう。
「権利落ち」「配当落ち」「ストップ高」「ストップ安」
株価情報を見るうえで、お馴染みのこれらの言葉ですが、その意味をここできちんと押さえておきましょう!
ストップ高、ストップ安とは
株式市場では、よいニュースが出ると買い注文に集中したり、悪いニュースが出ると売り注文に集中するといったことが起こります。この偏った注文をそのまま成立させてしまうと、1日で株価が急激に値上がりしたり、値下がりしたりする可能性があります。
こうした極端な値動きを避けるために、オークション方式での売買では、あらかじめ1日に最大限動いてもよい値幅(制限値幅)が決まっています。制限値幅いっぱいまで株価が値上がりしたときがストップ高、値下がりしたときがストップ安といいます。
制限値幅は、株の価格帯ごとに決まっています。
なぜなら、100円の値動きは、1万円の株なら株価の1%にすぎませんが、500円の株の場合は20%の値動きだからです。
このように、同じ100円の値動きでも、株価によって影響の度合いはまったく違ってきます。制限値幅が株価の価格帯ごとに決まっているのはこのためです。
「ストップ高」「ストップ安」の制限値幅
前日の終値 | 制限値幅 |
---|---|
100円未満 | 上下30円 |
100円以上200円未満 | 50円 |
200円以上500円未満 | 80円 |
500円以上700円未満 | 100円 |
700円以上1,000円未満 | 150円 |
1,000円以上1,500円未満 | 300円 |
1,500円以上2,000円未満 | 400円 |
2,000円以上3,000円未満 | 500円 |
3,000円以上5,000円未満 | 700円 |
5,000円以上7,000円未満 | 1,000円 |
7,000円以上10,000円未満 | 1,500円 |
以下略 | 以下略 |
※ジャスダック銘柄の場合、3営業日連続して「ストップ高」「ストップ安」となると制限値幅が2倍に拡大されることもあります。
「権利落ち」とは
企業が配当金を支払ったり、株式分割を行ったりする場合には、その配当金や分割株を受け取る権利がある株主を特定するために、権利確定日を定めています。
これらの権利を得るには、権利確定日の前日までに受け渡しが完了していなければなりません。
売買成立の日を含めて4営業日目に受け渡しが行われます。つまり、権利確定日から起算して4営業日前が権利を得るための最終日ということになります。権利確定日から起算して3営業日前は権利落ち日といいます。
配当落ちとは
配当金の場合にも権利確定日があり、配当金を受け取る権利が「配当落ち日」を境になくなることを配当落ちといいます。
理論上では、配当落ちによって株価は下がりますが、上昇気流に乗っている銘柄の場合には、前日よりもさらに上がることもあります。
「権利落ち日」の計算方法