ネット株取引が株式投資の門を広げた!
株売買手数料の自由化で投資人口が爆発的に増加したインターネット株取引。今ではほとんどの個人投資家が利用している人気の秘密はなんなのか、その魅力を探ってみましよう。
株式投資に興味はあるけれど、忙しくてなかなか証券会社に足を運べない、または仕事などの関係で営業時間中に売買注文を出すことができない、という人は多いはずです。
そんな時に強い見方になるのが、パソコンやスマートフォンの端末さえあればいつでもどこでも株取引ができるインターネット株取引(以下、ネット株取引)です。これは、オンライントレードまたはネットトレードとも呼ばれています。
1999年に株売買手数料が自由化されたのを契機に、ネット取引で株式投資をする人は爆発的に増加しました。
ネット株取引を専門とする証券会社も次々と登場しました。ある調査によれば、個人投資家の約90%以上がネット株取引を利用しているという結果も出ています。
ネット株はいつでもどこでも楽しめる!
ネット株取引の魅力は、あげていくと数え切れないほどあります。
忙しい合間をぬって証券会社の支店まで手続きに出向く必要がなく、深夜や早朝でも売買注文を出したり、情報の閲覧をしたりすることができます。パソコンやスマホなどの端末さえあれば、自宅や仕事場に限らす、どこからでも売買注文を出すことができます。さまざまなライフスタイルの人々が自分の都合に合わせて利用できることは大きな魅力といえるでしょう。
また、最大のメリットは株売買手数料が安いことです。従来の対面取引の約10分の1以下となっています。
少額投資をする人にとっては、手数料が高いことは一番のネックになりますが、その点、株売買手数料の安いネット株取引なら、少額投資でも儲かるチャンスの幅が広がります。
ネット株は初心者にもピッタリ!
株を始めたいけれど、証券会社の敷居がちょっと高くて…と思っていた人でも、ネット取引なら気軽に始められます。
証券会社の営業担当者と直接話さなくてもよいので、初心者だからといって気兼ねすることなく、自分のペースで株取引ができます。少額投資でも引け目を感じる必要はありません。
また、証券会社によっては、自社のホームページで株 初心者の方向けのネット株入門を丁寧に解説しているところもあります。これから株を始めようと考えているなら、ぜひネット取引を活用しましょう。
ネット証券の夜間取引
ネット証券は夜中でも売買注文が出せるだけではありません。最近では、実際に売買ができてしまうネット証券も増えてきています。マネックス証券の「マネックスナイター」は、証券取引所を通さず、私設取引システムを使って投資家どうしの売買注文を仲介するというもの。このシステムによって、4,000以上の銘柄が夜の23時59分まで取引可能となっています。
オンライントレードを始めるために必要なもの
株の売買はリアルタイムで注文できる
インターネットが普及する以前は、株の売買をするには証券会社の窓口に出向いたり、証券会社の営業担当者に電話する必要がありました。しかし現在では、パソコンやスマートフォンから、インターネットを通じて売買注文を出すことができます。
従来の取引方法に比べて手軽であるという点の他にも、いくつものメリットがあります。
先にも述べたように最大のメリットは株売買手数料が安いことですが、大きなメリットの一つとして「リアルタイム性」があります。
証券会社の担当者を介して出されていた売買注文は、インターネットを通じて投資家がコンピュータに直接アクセスして瞬時に売買注文が出せるようになりました。同時に、刻々と変わっていく株価も、値動きをリアルタイムで見ることができます。株式ニュースなどの最新情報がすぐに手に入るのも大きなメリットです。
オンライントレードはパソコンとインターネットがあればOK!
オンライントレードを利用するには、最低限パソコンとインターネット回線が必要です。スマホだけで取引することもできますが、取得できる情報の量や、使い勝手の面ではやはりパソコンにはかないません。ぜひパソコンを使って取引しましょう。
やはりお金をかけて取引するのですから、じっくり腰を据えて、よく熟考してから取引したいものです。外出先などでパソコンが見れない時に確認する際はあくまで情報のチェックぐらいにするなど、スマホは補助的な位置づけです。パソコンのOSはWindowsでもMacOSでも構いませんが、証券会社が用意している株価チャートソフトなどの独自ツールは、Windowsのみ対応となっている場合や、同じWindowsでもバージョンを選ぶ場合もあります。
証券会社を選ぶ際は、パソコンのシステムが対応しているか、口座開設前に確認しておきましょう。パソコンの性能としては、ストレスなくネットを閲覧でき、証券会社からのメールの受け取り、各種文書のPDFファイルの閲覧程度ができれば十分です。よほど古くなければ問題ありません。
オンライントレードのメリット | |
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情報が早い! | ●リアルタイムで株価を配信! ●市場ニュースも速報をキャッチ! |
手数料が安い! | ●対面取引の約10分の1以下、ネット証券では数百円から! |
時間や場所も自由! | ●パソコンやスマートフォンなどから24時間いつでも売買注文を出せる! |
様々なサービスを利用! | ●銘柄スクリーニング ●アナリストレポートの閲覧 ●独自のチャートツール |
オンライントレードに必要なもの | |
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パソコン | ●Windowsパソコン、MacもOK。 メールが送受信できることと、PDF文書リーダーのインストールは必須 ※証券会社が用意している独自ツールには、Macには対応していない場合もあるので注意 |
インターネット回線 | ●光回線が望ましい |
スマートフォン、携帯電話 | ●なくてもできるが、あれば出先などでも株価チェックや注文もできるので便利 |
証券会社によって株売買手数料が違う!
株取引でいちばんのコストと言えば「株売買手数料」です。そこで証券会社選びにも株売買手数料の差は大きなポイントとなります。証券会社を選ぶ際には株売買手数料を中心に、提供サービスが自分に必要なものかで検討しましょう。
また、株売買手数料には主に「通常プラン」と「定額プラン」の2つのプランがあります。
通常プラン | 1回の約定※ごとに売買代金に応じた手数料がかかる |
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定額プラン | 取引回数に関係なく、1日の約定代金の合計で手数料が決まる |
※約定 = 株取引が成立したこと。
頻繁に取引するなら、定額プラン。1日1~2回の取引なら通常プランの方が安上がりになります。もちろん株初心者の方には通常プランがおすすめです。
例えば、【楽天証券/ワンショットコース】の場合
約定代金 | 手数料 |
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10万円まで | 145円/1回 |
20万円まで | 194円/1回 |
50万円まで | 358円/1回 |
100万円まで | 639円/1回 |
150万円まで | 764円/1回 |
3,000万円まで | 1,209円/1回 |
3,000万円超 | 1,277円/1回 |
株売買手数料以外にかかるコスト
株取引では、売買のたびに証券会社に株売買手数料を支払わなければいけません。1万円で買った株を1万円で売ればプラスマイナスゼロですが、実際には買いと売りの往復分の「手数料損」となりますので、売却益を得るためには手数料込みで考える必要があります。
手数料は、証券会社によって差がありますが、売買額によって傾斜制になっていたり、一律料金制だったり、期間定額制だったりと、「どの証券会社が安い」と一概には言えません。自分の投資額や売買頻度と照らし合わせることが必要です。
また、一部の証券会社では口座管理料がかかる場合もありますし、証券会社独自のツールに使用料が必要な場合もあります。細かいところでは、銀行口座と証券口座間での資金移動の際には、振込手数料も必要になります。
その他のコストとしては、株売買手数料に課される消費税、株を売却したときの利益に課される譲渡益税、配当金から天引きされる配当税があります。
情報提供料 | 簡易的な情報なら無料だが、ニュース配信会社との提携で詳細な情報配信を有料にしていることもある。 |
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ツール使用料 |
チャートツールなどに月額使用料が必要なケースも。取引実績や口座残高などの条件で無料になる場合が多い。 |
各種税金 | 売買で利益が出ると譲渡益税が課せられる。別の売買で損失が出たら通算も可能。他に消費税と配当税。 |
一般口座と特定口座、そしてNISAとは?
株式や投資信託のために作られた口座のことを「特定口座」といいます。
特定口座の方が使いやすい
銀行口座にも普通口座、総合口座、決済用口座、貯蓄口座などがあるように、証券口座にもいろいろな種類があります。
口座開設の申し込み時に、 一般口座と特定口座を選択する場合があるので、最低限これらの違いを知っておきましょう。結論から述べると、おすすめは特定口座です。
特定口座にも「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類がありますが、「源泉徴収あり」を選択すると、証券会社が売却益から税金を計算し、納税までやってくれます。「源泉徴収なし」では税金が引かれませんので、「年間取引報告書」を元にして確定申告する必要があります。2社以上で取引する場合は「なし」を選択して損益を合算し自分で納税します。売買益が申告要件に満たない場合は有利です。
一般口座は特定口座制度ができる以前からあったもので、取得単価が不明なタンス株を入庫する場合など、ごく限られたケースでしかメリットはありません。これから株取引を始めるなら、「特定口座(源泉徴収あり)」をおすすめします。
タンス株とは
証券会社等に保護預りせずに投資家が個人の自宅など、手もとで保管されている上場株式等のこと。
2009年1月には、上場企業の株券はペーパレス化(電子化)されましたので、紙ベースでのタンス株に経済的な価値はないものとされています。
一方で、株券の電子化が行われるまでに自宅など手元で保管されている株券については証券会社等に預けるように勧告されていましたが、まだ多くの株券がタンス株として提出されていません。
提出されていないからといって株主としての権利を失うわけではありませんが、「売却がすぐにできない」や「売却までに時間や多くの手続きが必要になる」などの問題があります。
NISAとは?
NISA(ニーサ少額投資非課税制度(日本版ISA))。これはイギリスのISAを手本に導入された、少額での投資を行う人向けに作られた非課税制度で、平成26年1月より各証券会社、銀行でスタートしました。
NISA口座で売買した毎年100万円分の株式や投資信託の投資の結果による、売却益や配当金には税金が掛かりません。また、5年間、その非課税が適用されます。
特定口座などと、併用して使うことはできますが、一方のデメリットとして、NISAは、1人1口座しか持てません。これは証券会社ごとではなく、全体を通して1人1口座のみになります。
その他、「NISA口座を他の証券会社に移せない」「NISA口座で購入した株や投資信託でないと非課税の適用ができない」「確定申告では他の口座との損益通算ができない」などがあります。
しかしながら、少額でも税金として取られるおよそ20%が非課税になるというのは、やはり魅力です。
口座の種別とそれぞれの特徴
特定口座 (源泉徴収あり) |
特定口座 (源泉徴収なし) |
一般口座 | |
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メリット | 年間取引報告書の作成から譲渡益にかかる税金の納税まで、全部証券会社がやってくれる。確定申告の必要もない。 | 年間利益が20万円未満の場合は確定申告の義務がないので、源泉徴収されない分節税になる。 | 手元に購入額の判らない株券があれば特例を利用できるが、これから株取引を始める人には一切メリットなし! |
デメリット | 年間の利益が20万円未満でも源泉徹収された分は納税されてしまう。 | 年間取引報告書を元に、確定申告や納税を自分で行う必要がある。 | 年間の損益計算から確定申告まで、すべて自分でやる必要がある。従来からある古い口座。 |
NISAのメリット、デメリット
メリット | デメリット |
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毎年100万円分の投資による、売却益や配当金が非課税 | 対象はNISA口座で購入した株式や投信 |
非課税は5年間有効 | 一度開いたら他の金融機関に移せない |
確定申告するとき、他の口座との損益通算ができない |
損益通算
確定申告するときに一方が黒字、もう一方が赤字のときに合算して余分な税金を取られないようにする計算方法。
株式などの所得では、損が出た場合、損益通算を行い、さらに「損失の繰越控除」を行うことで来季以降3年間の税金を安くすることができるが、NISA口座ではそれができない。